World view

希/望/ヶ/峰/学/園――それは高校が最も有名であるが、最近では中学の時点で選抜されているという噂があった。
学園の影となる場所に立地された、希/望/ヶ/峰/学/園附属中学校という通り名で親しまれている中学校。基準を満たし選抜された生徒たちは、そこでひっそりと中学時代を過ごすのだ。
勿論、この時点では仮選抜であるため、学園に上がらない者もいる。途中からの編入も可能、長期的に学校に来ない者もいたが、この中学校に通う者たちの多くがかの学園に入学することに憧れていた。

小規模な附属中学校では、将来の人間関係のためを思ってだろうか。クラス数も少ないため、縦のつながりを重視する機会が多かった。その為に学年の隔たりなくほとんどの人間同士が面識を持ち、そして時折訪れる希/望/ヶ/峰/学/園の生徒達を慕っていたのだ。
しかし、平穏な日々は突然終わってしまう。「最大級の絶望事件」が発生したため、やむなく学園と付属校は閉鎖され、生徒たちは散り散りになってしまう。曰く、超/高/校/級の絶望が起こしたという事件。附属中学校の生徒達は、超/高/校/級の才を持つ高校生となることができないまま、とある春の日、止む無く学園を去ることとなった。

然し、彼等の元にメールが届く。それは、かの学園からの入学を知らせるものだった。
付随していたファイルを開くと、画面いっぱいに広がるチャットルーム。そこでは、再びクラスメイトとなるメンバーとの邂逅が待っていた。

Time axis

〖第78期生 〗
      |先輩・後輩の関係性
〖無印の生徒達 〗
      |先輩・後輩の関係性
〖インタールードの生徒達 〗

Word

希/望/ヶ/峰/学/園(本家)……超/高/校/級の才能を持つ生徒達の集う高校のこと。完全スカウト性であり、一般生徒は通常入学できない。尚、本科と予備学科の二つが存在する。

希/望/ヶ/峰/学/園附属中学校……希/望/ヶ/峰/学/園に附属している中学校。実際は異なる名前であるが、ここに所属するものは皆、自分の才能と学園の権威にあやかりこの通り名で呼ぶ。
実態は、まさしくかの学園に附属している中学校。此方も完全スカウト性であり、高校生までの年齢はまだ空いているが、優れた才能があると認められた場合に入学を勧められる。強制ではなく、拒否した場合は高校入学の年齢に達した際改めて通告が下る。尚、入学した場合は、ほぼ確実に学園へとエスカレーター式に入学できる。
登校規則などもゆるく、他学校と兼任して通うことも可能。先輩後輩同士の絆が深いことが多い。

人類史上最大最悪の絶望事件(本家)……本科生の姉妹によって引き起こされた、世界を絶望に染め上げた事件。超/高/校/級の才を余すことなく駆使したことで、伝染病のごとく広まり続けた。この過程において多くの人間が絶望し、元は異なる超/高/校/級の才能を抱いていた人間達も本性を見せ、絶望へと染まって行った。一時よりは鎮静化しているが、今尚絶望の殲滅には至っていない。

『ノアの方舟』……人ひとりが入って丁度の大きさの卵形の機械。真ん中で半分に割れるようになっており、そこが唯一無二の出入り口となっている。内部にはクッションが敷かれており、天井部には本体とも言えるヘルメット型の装置が付随している。名前の由来は旧約聖書に登場するかの有名な方舟から。
その実態は、架空空間と現実世界を接続させながら長い長い間のコールドスリープを可能とした、希/望/ヶ/峰/学/園の一大プロジェクトの成果。本来は、秀でた才能に対して強い執着心のある学園が、激変する世界でもその才を絶やさないために研究を進めていたものだという。
尚、研究中の段階で学園が閉鎖されたために、コールドスリープ機能が上手く機能するかは判明していない。
主に無印で活躍し、無印の生徒達が囚われたのがこの装置であった。仮想空間で死んだ生徒達は今尚、このちいさな卵のなかで、再会する日をゆめみている。

Re;プログラム……学園のとある研究者によって作られたもの。一見すると、学園の構造を精巧に模した仮想空間のプログラムである。しかし故意に引き起こされたバグにより、学園にはあるはずのないものや、ダミーデータがインプットされている。その実態は、『過酷な状況において超高校級の生徒達はどのように絶望するか』という研究目的のため、絶望シスターズを筆頭とした集団により改造された絶望プログラムである。絶望シスターズから演説者へ。演説者からアフェリエイターへと世代世代をつたって渡されてきたが、演説者とアフェリエイター、新たな超/高/校/級/の絶望達双方が死亡し破棄したため、そのプログラムは現存しないとされている。
 
レストアデータ……希/望/ヶ/峰/学/園入学が有力視される附属中学校生徒/ならびに学園生徒に対して行われた、自己複製データの管理・保存。その自己複製データをレストアデータと呼ぶ。秀でた才能への執着心の強い学園が、たとえ生身の身体が消滅したとしても、その優れた才能だけは後世に残せるようにと研究が進められていた。
中学校入学時に一度、高校入学時に一度データを取られるため、超/高/校/級の生徒は二度取られていることがなる

仮定データ……レストアデータに対して、ある条件を仮定し、成長させたもの。主にインタールードで活躍し、インタールードのコロシアイは『もし彼等が高校生となれたら』という条件を仮定したデータの生徒達によってRe;プログラム内部で行われた。ただし、インタールードの生徒達はその肉体を疾うに喪っており、このコロシアイにおいて死亡した生徒達は、自己も自己複製データも失ったこととなり永遠に帰らぬ人となった、というのが通説らしい。

チャットルーム ……インターネット上でリアルタイムに文字の会話ができる場所。SNSと形状は似ているが、より内密な者同士でのやり取りが多い。入室する際は、ハンドルネームと匿名アイコンが必要であり、文字の大きさや色を変えることが出来る。ささやき機能を駆使することで、完全秘匿のメッセージのやり取りも可能。入室するまでは、完全匿名の閲覧者としてハンドルネームもアイコンも表示されない。
メールに付随されているアドレスは、チャットルームに繋がっている。

演説者(Speaker)……送辞の言葉を送り損なった再送者(Resend-er)。無印の黒幕。仮想空間で眠り続けている。

アフェリエイター(Affiliater) …… 答えを探し続けた返信者(Repli-er)。インタールードの黒幕。生身の身体を有していたが、仮定データがRE;プログラムと完全に同調していたため死亡した、とされている。